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2009年03月25日

【分析】 103回医師国試レポート (その4) 公衆衛生

103回国試レポート,4回目は“公衆衛生”のお話です.
103回医師国試レポート その1 その2 その3

前回に引き続き,
新ガイドラインで追加されたキーワードをご紹介します.

テーマは「地域包括支援センター」
…なのですが,みなさんはこの言葉,ご存知でしたか?

地域包括支援センターは,
平成17年の介護保険法の改正により創設された施設であり,
“公正・中立的”な立場から,地域における介護予防ケアマネジメントや
総合支援,権利擁護などを担う中核機関です.

カンタンにいうと,地域で暮らす高齢者に対し,
様々な面から支援をするための拠点になる施設,ということ.
(だから,運営主体は市町村

ここに配置されるのは保健師,社会福祉士,主任ケアマネジャー
の3職種が中心,ということで,そこから連想すれば
どういう事業が行われているかイメージできるはずです.

国試初登場にしてこの言葉が出てきた問題は,なんと3問!
知っているのと知らないのとでは大違いですよね.

でもこの内容,実は『QB公衆衛生』付録の
「よみトク」で紹介されていたのに気がついていましたか?



受験生のSさんいわく,試験会場でも
「こんなセンター知らないよ!」「QBの付録に載ってたジャン!」
なんて会話があったそうで.
いやはや,作った甲斐があったってもんです(^△^)☆

ではでは早速,
問題を解きながら確認していきましょう.( ̄▽ ̄)ゝ

【E43】
75歳の女性.回復期リハビリテーション病院に入院中である.10年前から糖尿病と高血圧症とで診療所に通院していた.1ヵ月前に左片麻痺が出現し脳外科病院に搬送され,脳梗塞の診断で1週間の入院後,転院となった.入院中,状態が安定したため,市役所に介護保険制度に基づく要介護・要支援認定申請が行われ,要支援の認定を受けた.現在の血圧は130/88mmHg.空腹時血糖122mg/dl,HbA1C 5.9%.
退院させるに当たり,担当医として行うべきことはどれか.2つ選べ.
a 介護老人保健施設への入所申請
b 介護老人福祉施設への入所申請
c 地域包括支援センターへの情報提供
d 糖尿病専門外来担当医への紹介状作成
e 通院していた診療所医師への診療情報提供書作成

正解は「e,c」で,正答率は71.8%とやや低め.
eは選べたけれど,
もうひとつのcが選べなかったという人が多いようです.

この女性は「要支援の認定を受けた」ということで,
退院後,介護サービスの利用などを相談する機関として,
地域包括支援センターへの情報提供を行うことは
モチロンになります.

でも,対象となるのは要支援者だけなのか,
というとそんなことはありません.
次の問題を解いてみましょう.

【F2】
介護保険制度で正しいのはどれか.
a 保険者は都道府県である.
b 被保険者は75歳以上である.
c 要支援者に対して介護給付が行われる.
d 地域包括支援センターは高齢者に対する虐待への対応を行う.
e 地域包括支援センターの活動対象は要介護区分1,2の者である.

正解は「」で,正答率は59.0%とかな~り低いです.
誤ってcを選んでしまった人が多かったようですね(選択率32.7%)
「要支援者→予防給付」,「要介護者→介護給付」
超基本事項なので,必ず覚えておきましょう.

そして,地域包括支援センターに関する問いはdとeでした.
まずdですが,センターの事業の1つは「高齢者の権利を守ること」!
具体的には虐待への対応などを行っており,これはになります.
(★主に社会福祉士の仕事)

またeですが,
センターでは「介護予防ケアマネジメント」事業として,
“要支援者”や,“要支援・要介護になるおそれのある者”には
介護予防ケアプランを作成しています.
(★主に保健師の仕事)

これは“要介護者”は含まれないので気をつけて!
つまり,eは×になります(選択率3.8%)

これらは,『サブノート2009』236ページの
事業内容の表を見れば,両方いっぺんに解けます.
以下にそのまま抜き出してみたので,要チェックです!

*********************************************
 地域包括支援センターの事業内容
(1) 共通的支援基盤構築
 …地域に総合的なサービスネットワークを構築する
(2) 総合相談支援・権利擁護
 …高齢者本人や家族などに対して総合的な相談・支援を行う
 …虐待対応など,高齢者の権利擁護のための支援を行う
(3) 包括的・継続的ケアマネジメント支援
 …高齢者を対象に,主治医,ケアマネジャー,施設を中心
  とした多職種による協働や連携を行う
 …ケアマネジャーへの指導・助言を行う
(4) 介護予防ケアマネジメント
 …一般高齢者を対象に,介護予防事業マネジメントを行う
*********************************************

では,これらをおさえつつ最後の問題にいってみましょう.
児童虐待の問題ですが,
選択肢のひとつに地域包括支援センターがまぎれこんでいます.

【E19】
被虐待児の対応に関与しないのはどれか.
a 警察
b 保健所
c 児童相談所
d 福祉事務所
e 地域包括支援センター

正解は「」で,正答率はたったの47.0%!!!
つまり「児童虐待」と「高齢者虐待」のヒッカケということですね.

福祉事務所を選んだ方が多いようですが(選択率26.5%)
児童虐待の通告先=児童相談所か福祉事務所(児童委員を介しても可)
というのは児童虐待の最重要ポイント.
児童虐待の問題は毎年出題されているので,必ずおさえておきましょう.

***

ところで,この地域包括支援センター,
「平成17年に創設された施設」ですが
平成19年4月末時点で,全国に3,831ヵ所も設置されており,
現在もどんどんその数を増やしています.
ペース早すぎ!なんて思いません?

実はこれ,新しい施設がどんどん作られているわけではなく,
在宅介護支援センターからの移行例が大半を占めるんです.
この辺りも『サブノート2009』236ページに詳しいので,
是非カクニンしてみてくださいね!


★“知らない言葉”を残さない

ガイドラインが新しくなった1,2年目の対処法は,
とにかく,自分の“知らない言葉”を作らないことです.

今回も特に「必修」「公衆衛生」の分野で
新しい用語が追加されましたが,
ひとつひとつについて,どこまで覚えなければならないか,
なんて,誰にもわかりません.

でも,なんとなく「これは高齢者に関わる言葉だな~」
くらい知っておくだけで,
正解の候補から外したり,自信はなくても当たったりするんです.

新ガイドラインは厚生労働省のサイトで読めますので
“知らない言葉”を国試前にはなくしておくようにしましょう!

以上,D子でした.(>▽<)


(編集部 D子)