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【4・5年生向け】 『病気がみえる』で“国試もみえる”! 第5回
編集部T.K.です.
2009年の第1弾は,『病気がみえる』で“国試もみえる”5回目でいってみよう!
第5回では,第4回でも予告したように
『病気がみえる vol.5 血液』を使って,「白血病」の問題を解いていきます.
それでは早速,問題ドドドンドン!
99G33
24歳の女性.四肢の紫斑と歯肉出血とのため来院し,当日入院した.
3日前に手足の紫斑に気付き,1 日前から歯肉出血が止まらなかった.
意識は清明.体温37.5 ℃.脈拍88/分,整.血圧106/56mmHg.
上腕と下腿との皮膚に点状出血と径1cmの紫斑とが散在している.
眼瞼結膜は蒼白.口腔内では歯肉の出血と頬粘膜の点状出血とを認める.
腹部は平坦,軟で,肝・脾は触知しない.
血液所見:赤血球290万,Hb 8.7g/dl,Ht 28%,白血球5,600,血小板1.2万,フィブリノゲン120mg/dl(基準200~400),血清FDP 34μg/ml(基準10以下).
血清生化学所見:総蛋白6.7g/dl,アルブミン4.3g/dl,尿素窒素22mg/dl,クレアチニン1.3mg/dl,尿酸8.8mg/dl,総コレステロール130mg/dl,総ビリルビン0.8mg/dl,AST 38単位,ALT 35単位,LDH 520単位(基準176 ~ 353).
骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を次に示す.
治療薬として適切なのはどれか.2 つ選べ.
a シクロスポリン
b アントラサイクリン
c L-アスパラギナーゼ
d 副腎皮質ステロイド薬
e 全トランス型レチノイン酸

☆☆☆ 診断 ☆☆☆
本症例では,24歳の女性が紫斑や歯肉出血などの「出血傾向」を訴えて来院している.
出血傾向をきたす疾患は多数あるので,鑑別のためにも血液検査をみてみると,
赤血球290万,Hb 8.7g/dl,Ht 28% ⇒ 貧血!
血小板1.2万,フィブリノゲン120mg/dl,血清FDP 34μg/ml ⇒ DIC!!!
尿酸8.8mg/dlやLDH 520単位 ⇒ 腫瘍性疾患の可能性!?
といったことが頭に浮かぶ.
そこで,ドクターは白血病を疑って骨髄穿刺を行ったというわけだ.
ハイ『標本』!

いわゆる画像一発問題!
有名なアレ,「faggot cell (Auer小体の束)」がみえるよね.
よって,診断はAPL(急性前骨髄球性白血病)で決まりとなる.
組織像に自信のない人は『病みえ vol.5 血液』p.74を確認しておくとよいだろう.
☆☆☆ APL(急性前骨髄性白血病) ☆☆☆
さて,問題ではAPLの治療法が問われているが,その前にAPLの病態生理について説明しておこう.
APLの病態生理を一言でいうと,「染色体異常[t(15;17)]によって前骨髄球が分化できない」ということになる.
もう少し詳しく説明するために,『病みえ vol.5 血液』p.89,「APLの原因」を開いてみると,

前骨髄球の分化について正常の場合とAPLの場合で2通り描かれている.
違いは一目瞭然か!?
通常,前骨髄球は成熟好中球に分化した数日後にアポトーシスに至ってその一生を終える(ホタルみたい).
そして,この分化の主役となる物質がレチノイン酸で,これがAPLを理解するためのポイントとなる.
レチノイン酸はその受容体であるRARαと結合すると,RARαとコプリレッサーという物質の結合をほどき前骨髄球の分化を促す.
しかし,APLではレチノイン酸がRARαと結合してもRARαとコプリレッサーが離れてくれない.
(RARαが染色体異常によりPML/RARαという受容体に変化している.)
その結果として,未分化なAPL細胞が無秩序に増殖し,発熱,貧血,易感染性などの症状を呈する.
また,とりわけ注目すべきなのは本症例にも出現しているDIC!!!
APLが原因のDICは国試でも何度か問われているので,確実におさえておこう.
☆☆☆ 選択肢ドン ☆☆☆
ではAPLの治療について考えていこう.
病態を考えたらわかるように,結局のところ,前骨髄球の分化を促してやればいい.
というのも,異常な白血病細胞であろうと,分化さえ促してやれば最終的にアポトーシスに陥ってくれるからだ.
そこで,APL細胞ですら分化させることのできる治療法,「分化誘導療法」が1988年(東京ドーム完成の時)に中国で開発された.
その分化誘導療法に用いるのが「全トランス型レチノイン酸」,略して「ATRA」だ.
このATRAは非常に完全寛解率が高く,その率なんと90%以上!!
まさに,1988年(B'zデビュー)に生まれたAPL治療薬の決定版!
ただし,ATRAを投与するにあたってATRAの副作用「レチノイン酸症候群」を知っておく必要がある.
そこで, 『病みえ vol.5 血液』p.91,「ATRA治療の重篤な副作用」を開いてみよう.

APLは,レチノイン酸の存在下でも前骨髄球が分化しない疾患だった.
だからATRAを用いて分化させてやればいいのだが,白血球が多いときには困ったことになりうる.
というのも,分化した白血病細胞がどっと血中になだれ込むと,これらが放出する大量のサイトカインのせいで発熱・呼吸困難・浮腫のような症状を引き起こし,ときには生命すら奪ってしまう.
ゆえに,白血球数が多い場合には(3,000/μl 以上が目安)レチノイン酸症候群を予防するために,抗癌剤のアントラサイクリン系を投与する必要がある.
せっかく効果抜群の薬剤なのに,その副作用で死んでしまうとは,本番という名の茶番ということになってしまうね.
というわけで,正解は b と e ということになる.
また,他の選択肢についても簡単に触れておくと,
a シクロスポリンは免疫抑制剤から,感染症を増悪させる.ゆえに,不正解.
c L-アスパラギナーゼは急性リンパ性白血病の治療薬であるので不正解.
d 副腎皮質ステロイドは感染症を誘発するため使用しない.
しかし,レチノイン酸症候群を発症した場合には効果的なので,ぜひ覚えておこう.
それでは,今回はこれで終わり.
次回はみんなが最も苦手とする「産科の分娩」に挑戦しようと思うのでお楽しみに!!
(編集部 T.K.)
![クエスチョン・バンク[臨床]と[一般]を分けるのにはワケがある](http://www.medicmedia.com/informa/image/rin.gif)


