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【4・5年生向け】 『病気がみえる』で“国試もみえる”! 第4回
編集部T.K.です.
初めまして,ではありませんよー,第4回目ですよー.
『病気がみえる』で『国試もみえる』のT.K,第4回目の登場です.
さて,とうとう 『病気がみえる vol.5 血液』 が発売されましたね.
そんなこと微塵も知らなかった人や,すでに書店で見かけた人もいるかと思いますが,
『病気がみえる』シリーズに新たな章“血液”が加わったんです.
京都弁で言うところの「あんたはんも,これ使こうて血液でも勉強しはったらどうですのん?(ネイティブfromオンギー)」てな感じで,早速『病気がみえる vol.5 血液』で国試を解いていきましょう.
今回は必修問題から1問ご用意いたしました.
非常に典型的で解答しやすい問題ですが,この問題から『病気がみえる』を用いてどんどん飛躍していきましょう.
そう,みて理解して飛躍する!!
はい,問題ドン!
95F42(F41の選択肢は省略)
27 歳の女性.体動時の息切れを主訴に来院した.
現病歴:2年前から健康診断で貧血を指摘されていたが,自覚症状がないために放置していた.
1ヵ月前から体動時の息切れと全身倦怠感とが増強するため来院した.月経に異常はない.
既往歴:特記すべきことはない.
現症:身長158cm,体重45kg.体温36.5℃.眼瞼結膜は貧血様.心尖部に2/6度の収縮期雑音を聴取する.肺の聴診所見は正常.腹部は平坦で,肝と脾とを触知しない.
検査所見:尿所見:蛋白(-),糖(-).便潜血反応陰性.血液所見:赤血球340万,Hb
7.8g/dl,Ht 27%,網赤血球15‰,白血球7,600,血小板32万.血清生化学所見:総蛋白7.3g/dl,アルブミン4.1g/dl,総ビリルビン0.5mg/dl,LDH
260単位(基準176~353),Fe 5μg/dl,総鉄結合能423μg/dl(基準290~390),フェリチン7ng/ml(基準20~120).
F42
この患者に対する治療として適切なのはどれか.
a 経過観察
b 鉄剤投与
c ビタミンB12投与
d 葉酸投与
e 蛋白同化ステロイド薬投与
☆☆☆ 赤血球の大きさと色素 ☆☆☆
さて,本問題を簡単にまとめると,
「27歳の女性,2年前から貧血,自覚症状がなかったため放置.だけど最近貧血の症状が出現,しんどいので来院.さあ治療はどれ?」ということになるよね.
来院時の血算は赤血球340万,Hb
7.8g/dl,Ht 27%と,確かに貧血を呈している.
それでは早速,貧血の問題を解く上で鉄則ともいえるMCV(平均赤血球容積)とMCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)の値を計算しておこう.
まずはMCV,1つの赤血球が占める容積(大きさ)を意味する値だった.
よって,MCVは2,700(Ht 27%)÷ 34(赤血球340万)≒ 79.4(正常80~100)となる.
つまり,本症例では赤血球はやや小さい.
次にMCHC,1Ht当たりに含まれる色素量(ヘモグロビン量)を意味する値だった.
よって,MCHCは780(Hb 7.8g/dl)÷ 27(Ht 27%)≒ 28.9↓(正常31~35)となる.
ゆえに,本症例では赤血球の色素は薄い.
以上より,本症例の貧血は,小球性低色素性貧血だということがわかる.
☆☆☆ 小球性低色素性貧血の鑑別 ☆☆☆
小球性低色素性を呈する貧血といえば,5つの疾患を頭に思い浮かべられるようにしよう.
1つ目は,鉄欠乏性貧血で貧血の代表格だ.
2つ目は鉄芽球性貧血,3つ目はサラセミア,4つ目は慢性疾患に伴う貧血があって,関節リウマチなどの患者さんがこのケースにあたる.
5つ目は非常に稀な疾患だが,無トランスフェリン症がある.
さて,これら5つの疾患を1つ1つ文面で勉強して
「発症機序がどう違うのか?」「検査値にはどういった特徴があるのか?」を整理していくのは至難の業.
ここで役に立つのが『病気がみえる
vol.5 血液』p.20!
ズバリ“鉄代謝から疾患を判断する”,はい,ドン!!

イラストでは貯蔵鉄からヘモグロビン合成までの流れが描かれているが,
この過程のどこが障害を受けているかによって,小球性低色素性貧血を鑑別できる.
そして,各々の疾患において血清フェリチン,血清鉄,TIBC(総鉄合能)の値がどのように変化するのかがわかるので「各疾患の違い」もみえてくる.
では小球性低色素性貧血の考え方を説明していこう.
小球性低色素性貧血の原因としては大きく2つに分けて「鉄が足りない場合」と「鉄が利用できない場合」がある.
さて,鉄が足りない場合は,当然,(1) 鉄欠乏性貧血だ.
このときの鉄代謝は非常に明白で,鉄がただ単に欠乏するから貯蔵鉄を反映する血清フェリチンと血清鉄は低下する.
また,鉄が欲しくて欲しくて仕方がない状態なので,TIBCも上昇する.
このパターンは鉄欠乏性貧血に特有なので,血清フェリチン低下,TIBC上昇⇒
(1) 鉄欠乏性貧血と理解しておこう.
次に,他の4疾患ということになるが,鉄が欠乏しているのではなく鉄が利用できない場合について考えよう。
まず (2) と (3) に注目.
(2) 慢性疾患に伴う貧血の場合では,長い戦いがいつ終わるのかわからないので,身体はできるだけ鉄を蓄えとこうとする.
ゆえに,血清鉄が低下しても,貯蔵鉄で補おうとしない.
さらにトランスフェリンを低下させることにより,できるだけ血清に鉄が流れないようにする.
その結果,血清フェリチンは上昇し,血清鉄およびTIBCは低下する.
(3)
無トランスフェリン症は,トランスフェリンが少ない状態.つまり,鉄を乗せるトラックが少ないので,血液中を漂う鉄も低下する.
よって
(2) 慢性疾患に伴う貧血と同様血清フェリチンは上昇し,血清鉄およびTIBCは低下する.
最後に (4) と (5).
(4) 鉄芽球性貧血では,酵素異常のためヘムを合成することができない.
(5) サラセミアは,ヘムの相方であるグロビンに先天的異常があるため,うまくヘモグロビンが合成できない.
結局のところ,両者とも「貯蔵鉄も血清鉄もあるのにヘモグロビンを合成することができない」という状態.
つまり,貯金(フェリチン)もたくさん,財布(血清鉄)の中もバブリー,でもその通貨は使えないっていう悲劇的喜劇だ.
したがって,血液データは血清フェリチンおよび血清鉄は上昇し,TIBCは低下する.
☆☆☆ 選択肢ドン ☆☆☆
本症例の血液データは,Fe
5μg/dl(基準70~160),総鉄結合能423μg/dl(基準290~390),フェリチン7ng/ml(基準20~120)となっている.
すなわち,鉄欠乏性貧血というわけだ.
正解は,自覚症状もあるので,もちろん「b
鉄剤投与」が好ましい.
鉄剤投与については何度も国試に問われているので,ここで簡単に説明を加えておこう.
鉄欠乏性貧血は,以下のような流れで進行する.
鉄が欠乏 ⇒ 最初は貯蔵鉄で補う ⇒ 貯蔵鉄が尽きてくると血清鉄↓ ⇒ 材料ないのでヘモグロビン↓ ⇒ 貧血症状!
それに対して,鉄剤投与することによりどういった機序で回復するかというと,
鉄剤投与 ⇒ まず血清鉄↑ ⇒ 鉄を待っていた網赤血球↑ ⇒ ようやくヘモグロビン↑ ⇒ 最後に貯蔵鉄↑
となる.この流れは非常に重要だから,しっかり整理しておこう(p24,25参照).
他の選択肢についても簡単に触れておくと,
「a 自覚症状」があれば普通は鉄剤を投与する.ゆえに経過は観察しない.
「c 悪性貧血」と「d 葉酸欠乏性貧血」は国試的には大球性,そして臨床像も本症とは異なる.
「e 再生不良性貧血」に用いる治療法だが,血小板,白血球共に正常であるので不正解!!
☆☆☆ 最後に ☆☆☆
血液といえば“貧血”と“白血病”といった2つのビッグな疾患があるが,貧血でも白血病でも,それぞれが細かく分類されているので,「貧血ならどんな貧血なのか」,「白血病ならどういった型なのか」といった鑑別が当然必要となってくる.
そして,それらの鑑別が国試のポイントであり,医学生を悩ませる.
こういった問題に対応していくためには,正常と異常の対比だけでなく異常と異常の対比も必要となってくる.
つまり,診断を下す決定的な根拠を,各疾患を比べながら勉強していけばよいのだ!よいのだ!!
えー,少し語りが熱くなってきたので(熱すぎ!?),第4回はこの辺でお開き.
次回,第5回は『白血病』に関する問題をみて理解しよう!!
それでは,次回をお楽しみに!!
(編集部 T.K.)
![クエスチョン・バンク[臨床]と[一般]を分けるのにはワケがある](http://www.medicmedia.com/informa/image/rin.gif)


