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【4・5年生向け】 『病気がみえる』で“国試もみえる”! 第1回
みなさん,『病気がみえる』をご存じでしょうか??
写真・図表・イラストが満載で,文章だけではわかりにくい病態生理も,ひと目でわかってしまうアレです.
そう,「みて,理解する!」アレです.
「え,知ってるけど,国試はみえないんじゃないの~?」
確かにそういう意見も耳にすることはあります.
でも実は,CBTだろうと医師国家試験だろうと,ちゃんと「みて,理解する!」ことができるのです.
僕は医師免許取得後,編集の仕事をしているのですが,実際に,自分自身の国試対策にも『病気がみえる』が大いに役立ってくれました.
そこでこのコーナーでは,国家試験,臨床実習などで,
『病気がみえる』がどのように活躍するかを,なるべく具体的にお伝えします.
第1回(ネタが続く限り連載予定)では,過去の国家試験問題を『病気がみえる』を用いながら講義していきますので,みなさんのお役に立てればと思います.
はい,問題ドン!
96D49
32歳の女性.1年前から月経不順,顔面に痤瘡が多数出現し,口の周囲や下顎に濃い剛毛が生えるようになったため来院した.身長156cm,体重64kg.血圧164/94mmHg.満月様顔貌,中心性肥満,赤色皮膚線条および多毛を認める.血中コルチゾールと尿中17-OHCSとは高値で,デキサメサゾン2mg/日投与では抑制されなかったが,8mg/日投与で抑制された.
この患者でみられないのはどれか.
a 血中デヒドロエピアンドステロン〈DHEA〉低下
b メトピロン負荷試験で尿中17-OHCS増加
c CRH試験で血中ACTH上昇
d 下垂体腫瘍
e 両側副腎肥大
☆☆☆ 特徴的な症状をおさえる!! ☆☆☆
満月様顔貌,中心性肥満などの所見からCushing症候群を疑うのは大丈夫かな?
Cushing症候群の特徴的な症状は,国試で何度も何度も問われているから,自信のない人は『病気がみえるvol.3』p.209で確認しておこう.
「どのホルモン異常で,どの症状が,どういった病態生理で生じるのか」
ということがコンパクトにまとまってあるので,1回でもみておくと頭に定着しやすいだろう.
☆☆☆ Cushing症候群の病型 ☆☆☆
次にCushing症候群の問題で,避けて通れない道が「病型」を鑑別することだ.
しかし,これが慣れないうちはなかなか難しい.
そこで『病みえvol.3』p.210を開いてみよう.

この表はCushing症候群の「病型」を鑑別する上で,非常に心強い仲間となってくれるはずだ.
みてもらえばわかるように,正常,下垂体性(Cushing病),副腎性,異所性の各病態が1ページにわたりイラスト,表を用いてまとまってある.
いや,ほんとこれ以上ないって言うほどまとまってある.
そしてこの表で強調しておきたいポイントは次の2点だ.
ポイント①
負荷試験(デキサメサゾン試験およびCRH試験)に反応するか否か?
反応すれば → 下垂体性(下垂体の反応をみる試験なので当たり前ともいえる)
ポイント②
ACTHは高値or低値?
低値の場合 → 副腎性(副腎からのフィードバックでこれも当たり前か…)
なお,負荷試験に反応せずACTH高値の場合は異所性ということがわかる.
とにかくポイントを2つに「絞る」ことが理解への近道になるだろう.
そしてこのポイントの『ポイント』は常にこのことを意識して問題を解く,ということだ.
☆☆☆ 本症例の病型は?? ☆☆☆
さて,本問題では
『デキサメサゾン2mg/日投与では抑制されなかったが,8mg/日投与で抑制された.』
という問題文が病型を鑑別する鍵となっている.
ポイント①の通り,負荷試験に反応しているのだから,下垂体性(Cushing病)ということがわかるはずだ.
簡単に説明を加えておくと,下垂体腺腫から自律性にACTHが過剰分泌されている場合は,少量(1~2mg)のデキサメサゾン投与では副腎からのコルチゾール分泌は抑制されないが,8mgないしそれ以上の大量投与では抑制がみられる.
それに対して副腎性や異所性の場合は,下垂体のACTHと関係なくコルチゾールが無秩序に分泌されるので,両者とも少量,大量いずれのデキサメサゾン投与でも無反応なのだ.
☆☆☆ 選択肢を吟味 ☆☆☆
Cushing症候群の病型が下垂体性ということがわかったので,次に選択肢を考えていこう.
当然,「d 下垂体腫瘍」は正しい.
また,下垂体腺腫からACTHが過剰分泌されるので,「e 両側副腎肥大」も起こるはずだ.
表のイラストをみても,下垂体性と異所性(ともにACTH上昇)では副腎の両側肥大がはっきりわかる.
「c CRH試験で血中ACTH上昇」は勘違いしやいので気を付けよう.
下垂体からACTHが無秩序に分泌されているので,そこにCRHを投入したところで反応はないと思えるかもしれない.
しかし,実際には,下垂体は過剰反応を示し,より一層ACTHを分泌するのだ.
すなわちcは正しい.
繰り返すことになるが,デキサメサゾン試験だろうがCRH試験だろうが,“負荷試験で反応を示すのが下垂体性”というのが一つのポイントとなる.
下垂体腺腫は敏感な奴で,きちんと反応してくれるのだ.
さらに「b メトピロン負荷試験」に反応するのも下垂体性のみとなる.
メトピロン負荷試験は,今ではほとんど施行されていないので,今後は選択肢からも消えていくことが推測されるが,ACTH刺激分泌試験の一種で,反応すれば尿中17-OHCSが増加する.
ゆえに「b メトピロン負荷試験で尿中17-OHCS増加」は正しい.
したがって,誤りは「a 血中デヒドロエピアンドステロン〈DHEA〉低下」ということになる.
それもそのはず,下垂腫瘍が副腎をムチ打ってホルモンを作らせているのに,アンドロゲンの副産物であるDHEAが低下するはずがない.
“口の周囲や下顎に濃い剛毛”といった所見からもアンドロゲン上昇を裏付ける.
☆☆☆ DHEA or 17KSは副腎性の鑑別に有用 ☆☆☆
アンドロゲンの副産物である血中DHEAあるいは尿中17KSについて説明を加えておこう.
これらはACTHが増加すれば,副腎からのアンドロゲン分泌が促進されるので上昇するのは間違いない.
したがって,下垂体性と異所性では当然上昇する.
一方,副腎性ではすべてACTHが低下するが,自律性にアンドロゲンが分泌されているかどうかで事情が異なってくる.
副腎腺腫ではコルチゾールが主に過剰分泌されるので,フィードバック機構によりACTHが低値となりアンドロゲンの減少と同時に血中DHEAおよび尿中17-KSは減少する.
しかしながら,副腎癌の多くはコルチゾールだけでなくアンドロゲンも産生するので,ACTH低値にもかかわらず,血中DHEAあるいは尿中17KSは増加するのだ.
このことは副腎腺腫と副腎癌を鑑別するうえで非常に重要となってくる.しっかり頭に叩き込んでおこう.
(なお,副腎の過形成は両側副腎腫大を示すので,これが他の副腎性との鑑別となる)
☆☆☆ 最後に ☆☆☆
最後に,『病気がみえるvol.3』p.211をみておくと,より頭が整理される.
p.210では病型ごとに病態が整理されていたが,p211では違った切り口で図表にしてあるのがわかるだろう.
つまり,Cushing症候群の各病態別と総論的な視点の2通りが掲載されていることになるのだ.
重要なことは,1つの問題から「他の問題に応用できる」ということと僕は思っている.
では,もう1問準備してあるので,最後に自分の力を確認してみよう!
98-A49
40歳の女性.肥満と高血圧との精査を目的に来院した.
~中略~
血中コルチゾール基礎値24μg/日(5.2~12.6),尿17‐OHCS排泄量15.6mg/日(基準3~8),
17-KS排泄量1.7mg/日(基準3~11).尿17‐OHCS排泄量はデキサメサゾン8mg/日,2日間の投与で抑制されない.診断はどれか.
a Cushing病
b 副腎腺腫
c 副腎癌
d 異所性ACTH産生腫瘍
e 単純性肥満
~次回へ続きます~
(編集部 T.K.)
![クエスチョン・バンク[臨床]と[一般]を分けるのにはワケがある](http://www.medicmedia.com/informa/image/rin.gif)


